北野武

道徳がどうのこうのという人間は、信用しちゃいけない。 道徳なんてものは、権力者の都合でいくらでも変わる。 少なくとも、いつの時代も、どんな人間にとっても通用する、絶対的な道徳はないっていうことは間違いない。 学習指導要領には、「児童の道徳性の育成に、大きな影響を与えている社会的風潮」のひとつとして、「物や金銭等の物質的な価値や快楽が優先される」とある。 それはあんたたちのことだろう! と、とりあえずツッコんでおく。景気が良くなれば、世の中すべてが上手くいくみたいなことをいっているのは、いったいどこの誰だろう 道徳を云々するなら、まずは自分が道徳を守らなくてはいけない。それができないなら、道徳を語ってはいけないのだ。 昔ながらの日本的な道徳観を支えているのは、単なる郷愁くらいのものなのだ。 時代を作る人は、いつだって古い道徳を打ち壊してきた。誰かに押しつけられた道徳ではなく、自分なりの道徳で生きた方がよほど格好いい。 誰かに押しつけられた道徳に、唯々諾々と従うとバカを見る。それはもう、すでに昔の人が経験済みのことだ。